曇るレンズを拭きながら(浅野 達紀)

STUDENTS / ゼミ生日記

曇るレンズを拭きながら

 4回生の浅野です。今、銭湯に住み込みで働く学生の日常に密着し、現代の若者が共同生活の良さを忘れてしまったのではないかというニュースを作っています。
 男子大学生4人がキッチンやトイレなどを、共同で使いながら生活しています。彼らは生活スペースと光熱費が保証される代わりに、週に3回、営業が終わった午前1時から大浴場の掃除をしなければなりません。全身に大粒の汗をかきながら、およそ2時間もかけて鏡や浴槽など隈なく磨き上げます。
 撮影をする前に、風呂掃除がどのようなものであるのか知らなければならないと思い、私も一度この掃除を体験しました。熱気が立ち込める中、長時間作業することは想像以上に重労働で、終わった後は腕が上がらなくなるほどでした。
 いざ撮影に入っても大変です。カメラのレンズが湿気で曇ってしまったり、大学から借りた機材を水しぶきからかばったりと気を遣うことが多く、映像に集中できません。掃除をしている人たちと同じく、私もびしょ濡れになりながら撮影しています。
 しかし、毎晩のように骨の折れる共同作業を続ける中で、お互いの部屋を自由に行き来したり、多めに料理を作って分け合ったりと、家族のような連帯感も生まれるようです。「明日、朝早いから起こしに来てな」などと気楽に話す様子を見て、一人暮らしに慣れてしまった身からすると、羨ましく感じながら取材しています。

(風呂桶や椅子も、毎晩一つ一つ手洗いをしている。)


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